2009年12月24日
感染症の疑いがあるのに出社する社員への対応(1)
1.海外出張から帰国した社員に、感染症
罹患の疑いで自宅待機させることの可否
労務提供は労働者の義務であって
権利ではありません。
つまり労働者に就労請求権はないとされています。
したがって出社して就労したいという者に対して
自宅待機を命じたとしても、賃金
を払っている限りは労働者の権利
を侵害するものではなく、法的な
問題はありません。
また企業には施設管理権があることから、
一定期間社屋への立ち入りを禁止することも可能です。
もっとも特段の事情、たとえば他に
不当な動機・目的(組合にとって重
要な時期に組合役員を隔離する等)
がある場合などには、権利濫用とされ
るおそれもあります
が、そのような事情がなく、本人の意に沿わない
措置という程度では、原則として権利濫用とならない
と解されています。
自宅待機命令については、就業規則
の根拠規程も必要ありません。
就業規則には、懲戒処分として出勤停止
や、懲戒処分前の自宅待機しか規定がないという例も
ありますが、賃金を払っているかぎり、根拠規定がなく
とも、新型インフルエンザ対策、鳥インフルエンザ対策
など、感染症対策のため自宅待機を命じることは可能です。
ところで、自宅待機中の期間を、賞与査定に際して欠勤
として取扱うか?
あるいは年休の要件である8割以上出勤の算定に際して
欠勤として扱うべきかという問題があります。
賞与査定の方法は、企業の裁量に委ねられている事項
ではありますが、
出張を命じたのも自宅待機を命
じたのも企業の都合であること
から、欠勤扱いは不合理といえ
ます。
また年休の出勤率計算についても、当該
自宅待機の日は、使用者の責めに帰すべき事由による
休業の日として、全労働日に含まれない取り扱いになる
と考えます。
一方、出張ではなく、会社が感染地域への渡航自粛を
呼びかけているいるにもかかわらず、それを無視して
旅行をした場合については、別に考えることが出来ます。
出張の場合と同様、感染病防止対策として企業の都合で
自宅待機を命じることは可能です。
しかし、懲戒処分として自宅待機
を命じることはできません。
また、自宅待機を命じた場合は、原則として労働者の責めに
帰すべき事由による自宅待機であり、自宅待機中の賃金を支払う
必要はないと考えます。
ただし、このような扱いをする
ことはあらかじめ明確にしてお
くべきです。
また、年休については、
権利行使するかどうかは労働者の自由なので、本人が有給休暇
をあてるというのであれば、これを認めて差し支えありませんが
本人がそれを望まない場合に、一方的に年休扱いにすることは
できません。
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