2010年04月05日
職場での嫌がらせ
今日は個別労働紛争の判例事例について説明します。
労働者Xは使用者Yの設置する学校の教諭です。
学校には産休を自制するような雰囲気が教職員
の間にあったにもかかわらず、産休を2回取得し
かつ産休期間である6週間すべてを休み、
「産休は権利です」と主張するようなXの態度
をYは快く思っていませんでした。
Yは産休を取った者は人の2倍働かなくては
ならないと述べ、Xに1日で行うことは到底履行不可能な
職員室の時間割ボードの書き直しを命じました。
YはXがその日の内に命令を履行しなかったことに関し、
「仕事をしなかった」という始末書の提出を求めましたが、
Xは後日ボードの書き直しを履行しているため、このことは
事実に反するとして始末書の提出を拒否しました。
また、Yは生徒らにXについての感想文を命じましたが、
労使の問題に生徒を巻き込むことになるとして、Xは
これに応じませんでした。
以上のような経緯の後、Xはそれまで担当していた学科の授業
クラス担任その他の校務分掌一切の仕事を外され、席を他の職員
から引き離されて配置された上、何らの仕事も与えられないまま
4年6か月にわたって一人だけが別室に隔離され、更に5年余の
長期にわたる自宅研修が命じられました。
そのためXは業務命令権を濫用した
違法な命令により人格権、自由権
名誉等を侵害した不法行為に該当する
と主張して、Yに対し慰謝料の支払い
を命じました。
労働者Xは勝ったでしょうか?負けたでしょうか?
考えてみてください。東京高裁裁判例です。
答えは「労働者Xの勝訴」です。
裁判所はYに対してXに対する慰謝料600万円の
支払いを命じました。
では、その理由です。
ボードの書き直しに関し、全体として見てXにはあえて
業務命令にさからったと評すべきところはなく、また、
感想文の提出の命令は、始末書の提出に応じなかった
ことの代償のようなところもあり、学園側と教師との
間の問題の処理のために、生徒を巻き込んだ形で
感想文を書かせることは教育の現場を預かる者として
適切でないとXが判断したことも理解できないではなく
感想文を書かせなかった自体につきXには強く責める
べき点はない。
Xが二度にわたって産休をとったこと
及びその後の態度が気にくわないとい
う多分に感情的な校長の嫌悪感に端を
発し、執拗とも思える程始末書の提出
をXに要求し続け、その行為は業務権
の濫用として違法、無効であることは
明らかであって、Yの責任は極めて重
大である。
このようなYの行為により、Xは、長年、何らの
仕事も与えられずに、職員室内で一日中机の前に
座っていることを強制され、他の教職員からも隔絶
されたばかりでなく、自宅研修の名目で職場からも
完全に排除され、かつ、賃金も昭和54年度のまま
据え置かれ、一時金は一切支給されず、物心両面
にわたって重大な不利益を受けてきたものであり、
Xの被った精神的苦痛は誠に甚大であると認め
られる。Xの精神的苦痛を慰謝すべき賠償額
はYの責任の重大さにかんがみると金600万円
をもって相当とするという判決でした。
(松蔭学園事件 平成5年11月12日判決)
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昔は育児休暇どころか、産休をとってもこんな状態だったのですね・・、ペッタンを押すものそのうち常識になるのでは・・汗
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