この記事は解雇と採用について書かれています
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2008年05月01日

解雇と採用

ようこそ、くまさん社労士のブログへ!!face02

経営者の皆さんで問題社員の解雇等で悩まれた経験

をお持ちの方も多いと思います。

もし、そんな経験がないのでしたら、それはよほど職場環境

がいいのか、運がいいのだと思います。

ある社会保険労務士の先生から聞いたお話をします。

「A社は衣類小売を営む従業員数30名程度の中小企業ですが、

今まで先代の時から勤めていた番頭さんが会社を取りまとめ、

特に社内の風通しもよい職場だったのですが、ある日、取引先の

社長より男性社員Bを引き受けてもらいたいとの依頼がありました。

何か問題はあるかもしれないとおもいつつ、断ることが出来ずBを

引き受け、履歴書に営業部門と経理部門の経験があるとのことで

あったので、売り場の営業に立たせたのですが、お客さまに挨拶

も出来ず、暗い感じのうえ、商品の勉強もしようとしない状態であり、

さらに、経理部門に回してもスピードも遅く、またに間違いも多く、

経理部門自体の停滞の元凶になってしまいました。

そのため、やむを得ず再度店頭に戻し、支店への配属も行いま

したが、一向に改善されませんでいた。

それどころか、3年位たった頃には知り合いとなった取引先に

会社の悪口や社長の悪口を言い回る状況となり、

究極はお客さまと喧嘩まで起こす始末でした。」

A社の社長はそんな事態になり、やっと社会保険労務士の先生に

相談されたそうです。

社労士の先生(H先生とします)は、A社の状況を確認した所、

就業規則は昭和50年代のままで、法改正には全然取組んで

いない状況であり、さらに時間管理も杜撰であったとのこと

でした。

さらに、懲戒の規定も定められておらず大変危険な状況である

と認識し、早急に就業規則の改定に取組まれたのですが、

1歩遅く労働基準監督署よりB氏より自分に対する会社全体

でのイジメ、残業料の未払い、有給休暇なし、昇給がなされない、

職場のたらい回し等での相談があったとA社に呼び出しが

あったそうです。

A社には古い就業規則しかなかったこともあり、就業規則の細部

まで監督官の指導を受け「是正勧告書」を示され、

その書面に社長が署名、捺印をさせられました。

A社は結局2年分の未払い残業料の支払いを行い、H先生とともに

就業規則の整備他、時間管理の制度の厳格化を図ったそうです。

Bはその後も態度を改める気配はなく、相変わらず会社の悪口を

言いふらしていましたが、会社も毅然とした態度で新たに改定した

就業規則の懲戒の規定に従い、その都度訓戒、減給等の処分を

課してきたそうですが、ある時上司を泥棒呼ばわりをして、上司を

愚弄する発言をしたことを重く見て、懲戒解雇処分にしたそうです。

その後、Bは解雇が無効と会社への強引な侵入を図ったり、多く

の狼藉を繰り返し、ついには会社を提訴しました。

結局裁判は勝訴しましたが、3年の年月を要しましたそうです。

なお、この3年の間に費やした犠牲は社長の心労だけでなく、

売上げが3割近く減少して、赤字会社に転落したそうです。

やはり、社長は営業の陣頭指揮をしてこそ会社は成り立つものです。

会社の払った犠牲は大変大きなものでした。

長々と書きましたが今回の問題は、

①現在の労働法は、労働者保護の観点が強く、解雇に対して

解雇権の濫用との判断をされる事例が多くなってきていますが、

A社自体が風通しのよい会社であり、そのような認識が欠け

ていたといえることです。

②就業規則に対する認識の甘さから、全く見直されておらず

不良社員を 解雇することが出来なかったことです。


*就業規則は常時10名以上の労働者を使用する会社は義務ですから、

当然作成しなければなりませんが、10名未満の会社でも作成されてな

ければ、従業員の解雇は難しくなると覚悟されておかれた方が良いと思

います。

③案外見落とされていますが、採用に関して全く無防備

であることです。

いくら、就業規則で解雇規定を定めても、次から次に不良社員を発生

させては経営者が本業に集中することは不可能ですし、現在は労働者

のために、組合やユニオン等がありますので、一度採用してしまえば、

解雇には大変な労力を要します。ただ、採用に関しては経営者の裁量

で判断することが出来ます。


*私も、将来、経営者の皆さんのお役に立てるように色々調べましたが、解雇

  規定については多くの書籍が出版されていますし、大体内容も統一してき

  ているみたいですが、残念ながら採用については面接の手順書のようなも

  のしかありませんでした。

  さらに、私自身も今まで採用は賭けだと思っていましたので、深く考えなかっ

  たのですが、今度、その考えが誤りであることがわかりました。

『良い社員を採用する会社はそのような採用を

やっている、悪い社員を採用している会社は

そのような採用をやっている』ということがよく

わかりました。


参考のために下の図書を推薦します。

私は感動しました。言われてみると当然だなという気づきが多くあり、

ぜひこれから活用したいと思います。

私は、なにぶんDL購入したのでページ数が多くて2分冊になりました。・・汗

解雇と採用
解雇と採用



初めての面接でも欲しい人材を見抜くことができる採用面接マニュアル

なお、今日の話は実話を簡単に書きました。もっと複雑にBに会社がぐちゃぐちゃ

にされておられたのが実情ですが・・

今日のお話は、自社には関係ない話って思っておられる方も多いと思いますが、

人事・労務問題は不良社員一人を採用するとある日突然やってきます。



さらに、付け加えますと不良社員ほど労働法を

よく勉強しています。



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『解雇と採用』へのコメント

とても勉強になりました。

優良社員?なのに、何も言わずに静かに引き下がる私はバカ?
Posted by きよ at 2008年05月02日 09:45
きよさん
コメありがとうございます。
リストラ、って本当に都合の良い言葉ですが
でも、多くの人は経営者の都合のまま離職されておられるのではと思います。

当然、提訴するればほとんど労働者が勝訴するとは思いますが、そこまでしなくてもっというのが多くの方の気持ちなのではと思います。

ちなみみ、整理解雇が有効と認めれれるには「整理解雇4要件」を満たすことが必要です。
1.企業の維持・存続が出来ないほど差し迫った必要があるか
2.解雇を回避するあらゆる努力がつくされたか
3.解雇対象となる労働者の選択基準、人選が合理的か、選定基準が明示されているか
4.労働者本人や労働組合に事前に十分に説明をして了承を得られているか
ということです
Posted by くまさん社労士 at 2008年05月02日 23:31
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