2008年11月06日
賠償予定の禁止
Y社に勤務していたXは、Y社の社員留学制度
を利用して平成3年6月より平成5年5月までの
2年間アメリカの大学院に留学した。
しかし、Xは帰国後2年5か月で退職しました。
この留学に先立つ平成3年6月、XはY社に対して
「卒業後は直ちに帰国し、会社の命じるところの
業務に精励するとともにその業績目標達成に邁進
すること」及び「帰国後、一定期間を経ず特別な理由
がなくY社を退職することとなった場合、会社が海外
大学院留学に際して支払った一切の費用を返却する
こと」等と記載された誓約書を提出していました。
そこで、Y社はこの誓約書に基づき、Xに対して
留学費用のうち学費分467万円の返還を求めて
訴えを提起しました。
なお、Xはこの誓約書作成により金銭消費貸借契約書
が成立したとは言えない。
また仮に成立していたとしても、それは労働基準法第16条
「賠償予定の禁止」に違反し無効であると主張していました。
さて、労働者Xはこの裁判に勝ったでしょうか?
負けたでしょうか?
考えてみてください。東京地裁判例です。
答えは「Xの敗訴」です。
では、その理由です。
Y社の社員留学制度は人材育成を目的としたものであり、留学生への
応募も社員の自由意思に、また、留学先大学院や学部の選択も
本人の自由意志に任されいる。
「留学経験や留学先大学院での学位取得は、留学社員の担当業務に
直接役立つというわけではない一方、Xら留学社員にとっては、有益な経験
資格となる。」
従って、この制度による留学を業務と見ることは出来ない。
「その留学費用をY社が負担するか、Xが負担するかについては
労働契約とは別に、当事者間の契約によって定めることが出来る」
そして、XはY社に前記のような誓約書を提出していること等が
認められるから、XとY社の間で少なくとも学費について
「Xが一定期間Y社に勤務した場合には返還債務を
免除する旨の特約付の金銭消費貸借契約が成立
していると解するのが相当である。」
「XはY社に対して、労働契約とは別に留学費用返還債務を負っており
ただ、一定期間Y社に勤務すればこの債務を免除されるが特別な理由
なく早期に退職する場合には留学費用を返還しなければならない
という特約が付いているにすぎないから、留学費用返還債務
は労働契約の不履行によって生じるものではなく、労働基準法
16条が禁止する違約金の定め、損害賠償額の予定には該当
せず、同条には違反しない」との判決でした。
(長谷工コーポレーション事件)
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