この記事は派遣社員が損害を与えた場合の対応(1)について書かれています
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2009年08月19日

派遣社員が損害を与えた場合の対応(1)



 

 1.派遣社員が誤操作を繰り返し、損害を発生させた

   場合の損害賠償請求の可否

  
  
  
 労働者派遣とは、派遣元事業主が雇用する労働者を派遣先において、

 派遣先の指揮命令を受けて、就労させる形態です。労働者派遣において、

 派遣社員と派遣先の間には雇用契約関係はありません。

 派遣社員と派遣先との間にあるのは指揮命令関係だけです。

 一方、懲戒処分は、雇用契約関係にある労働者に

 対してなしうるものですから、派遣先としては

 派遣社員に対して「指導」することは可能
 
 ですが、懲戒処分を行うことは出来ません。

 
 しかしながら派遣社員の業務処理の過程で過失があり

 これによって損害を被った場合には、

 行為者である派遣社員に対して、不法行為

 にもとづく損害賠償請求が可能です。

 
 ちなみに自社の社員に対して損害賠償請求

 を行う場合には、

 1.労働契約上の義務違反があるとして

   債務不履行による損害賠償を請求する。

 2.故意・過失により損害を与えたとして不法

   行為による損害賠償を請求する。

 
 という二通りの方法があります。

 しかし、派遣社員の場合には派遣先との間に

 雇用契約関係がありませんので、派遣先と

 しては契約違反の責任は問えません。

 もっぱら不法行為責任を問うことになります。




 ただし、全額の請求ができるとは限りません。

 判例は、企業から労働者に対して賠償請求

 する場合には、損害の公平な分担という観点

 から賠償を一定の範囲で制限する立場をとって

 います。もとより横領、背任など、故意の不正行為

 によって損害を与えた場合は全額の賠償を認めて

 いますが、

 過失による場合には、労働者の責任の

 軽減がなされています。その背景には、企業活動

 により収益をあげているのだから、損失も企業

 がある程度負担すべきであるという考え方、あるいは

 教育不足や企業の設備の不備などが事故の原因

 となっている場合もあるので、労働者にのみ損害を

 負担させるべきではないという考え方があります。

 
 当該労働者が派遣社員である場合にも、このような

 考え方があてはまりますので、

 派遣先から派遣社員

 に損害賠償請求した場合にも一定の制限がなされる

 ことになると思われます。

 
 労働者に対する損害賠償の制限について、

 リーディングケースとされるのは

 茨城石炭商事件(最高裁昭和51年7月8日判決)

 です。これは交通事故の事案ですが、「使用者は

 その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の

 業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の

 態様、加害行為の予防若しくは損失の分散に

 ついて使用者の配慮の程度その他諸般の事情

 に照らし、損害の公平な分担という見地から

 信義則上相当と認められる限度において

 使用者に対し損害賠償又は求償の請求を

 出来るものと解すべきである。」として

 労働者の負担を全損害の4分の1に制限して

 います。このように諸般の事情に照らして

 具体的金額が判断されることになるので

 一般的な基準があるわけではありませんが、

 ごく大まかにいって、2~3割が一つの目安

 といえると思われます。


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