この記事は退職金に関するトラブルの対応(1)について書かれています
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2010年06月07日

退職金に関するトラブルの対応(1)



 

 1.突然退職を申し出て、慰留も振り切るような社員に

   対して退職金を不支給にすることの可否

  
  
  
 退職金制度を設けて労働協約、就業規則、労働契約などに

 よりあらかじめ支給条件が明確に定められている場合、

 退職金は労働基準法第11条にいう賃金であるとされます。

 また、退職金には、その沿革、現実の機能などから、賃金の

 後払いとしての性格と功労報償的性格があるとされますが、

 賃金の後払いとしての性格および労基法上

の賃金として扱われることに照らすと、退

職金受給権は厚く保護されるべきものと

なります。


 しかし、一方で退職金に長年の功労に報いるという功労報償的な

 面があることは否定できません。

 そこで長年の功労を抹消するような

特段の事情のある場合、たとえば懲

戒解雇該当事由があるような場合に

は、退職金を不支給とすることも許

されるとするのが通説・判例です。




 そうすると、退職金規定に「円満退職でなければ

 退職金を支給しない」という規定を定めたとしても

 はたしてそれが有効といえるかが問題となります。

 アンカー産業事件(大阪地裁平成14年7月19日判決)

 は、「退職金はすべて円満退職する場合に限り支給

 し、懲戒その他本人の不都合により退職する場合

 には支給しない」と定められた事案で、「円満退職」に

 限るとする規定を限定解釈して、これを有効としつつ

 適用の場面を限っています。

 具体的には会社は会社は、十分な引継ぎを行わないなど

 の事情のもとに退職した場合は「円満退職」とは言えない

 と主張しましたが、

 裁判所は、「円満退職」とは退職者に

懲戒解雇事由があるなど当該退職者の

長年の勤続の功労を抹消してしまうほ

どの不信行為がある場合以外を言うと

解すべき


 として、会社の主張を退けています。

 古くは、日本高圧瓦斯工業事件(大阪高裁昭和59年11月29日判決)

 があります。これは、「懲戒解雇等円満退職でないときは退職金

 を支給しない」との規定がある企業に対して、突如として退職届

 を退出し、残務整理・引継ぎをしないまま退職した営業所の責任者

 に対して退職金不支給とした事案です。

 裁判所は、そのような行為は責めるべきものであるが、永年勤続

 の功労を抹消してしまうほどの不信行為に該当するものと解する

 ことはできないとして、退職金の支払いを命じています。

 これら判例に照らすと、退職金支給は

円満退職に限るというような規定が仮

にあっても、突然の退職であるとか、

慰留を振り切って退職だけで退職金不

支給とすることはできないと言えると

思われます。


 半額不支給とするなど、減額にとどめた場合も、退職金保護の観点

 から、同様に難しいと思われます。





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