この記事は不良社員に関する対応(1)について書かれています
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2010年08月16日

不良社員に関する対応(1)



 

 1.経理上の不正が発覚し、ひとまず自宅待機

   を命じた場合の自宅待機期間中の賃金支

   払いの可否について

  
  
  
 懲戒処分としての出動停止ではなく、処分が決まる

 までの間、あるいは調査の間、しばらく自宅待機を

 命じることがあります。

 まず、このような自宅待機命令の可否については、

 労働者側に就労請求権はないので、

自宅待機をさせること自体は法的に

問題はないとされています。


 労務を提供するというのは労働者側の義務であって

 権利ではなく、したがって使用者が労働者に対して

 労務提供をしなくてよいと扱ったとしても、それは

 使用者の権利を行使しないというだけであり、労働者

 の権利を侵害することにはなりません。

 
 しかし、そのことと賃金を支払わなくてよいかどうか

 は別問題です。

 賃金の支払いについては、労働者側に

請求権があって、会社は義務を負う側です。


 賃金請求権が発生しないための、それなりの理由がない

 場合、会社は自宅待機中の賃金の支払いを要することに

 なります。この点については日通名古屋製鉄作業事件

 (名古屋地裁平成3年7月23日判決)、中川印刷事件

 (大阪地裁平成13年8月24日判決)があり、いずれも

 自宅待機中の賃金支払いを命じています。日通名古屋

 製鉄所事件は、懲戒処分自体は有効とされましたが、

 処分が決まるまでの間、自宅待機を命じ、その間賃金

 を支払わなかった点については、根拠がないので未払い

 賃金の支払いを命じています。





 判旨は、このようなこのような場合の自宅謹慎はそれ自体

 として懲戒的性質を有するものでなく、当面の職場秩序維持

 の観点からとられる一種の職務命令とみるべきものであるから

 使用者は当然にその間の賃金支払い義務を免れるものでは

 ないとしています。

 そして、使用者が支払い義務を免れるためには、当該労働者

 を就労させないことについて、不正行為の再発、証拠隠滅の

 恐れなどの緊急かつ合理的な理由が存することを要するとし、

 単なる労使慣行あるいは組合との間の口頭了解では足りない

 としています。不正行為の再発、証拠隠滅など、抽象的に

 見れば、常にその恐れはあると言えますが、

 この判決ではかなり具体化した危険がある

場合に限るとの趣旨です。


 要するに具体的に不穏な動きがないかぎりは、調査期間中

 の自宅待機は賃金を支払うのが原則ということになります。

 なお、懲戒処分ではありませんが、降職に先立って暫時、

 自宅待機を命じた事案で、本人の承諾なく未消化の年休や

 代休を充てて有給処理したことは労働基準法第39条などに

 反する不当な処理だとされた例もあり留意が必要です。

 (上州屋事件 東京地裁平成11年10月29日判決)

 本事件では事業主側はよかれと思って有給扱いにしたよう

 ですが、慰謝料30万円の支払いを命じられています。




 





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『不良社員に関する対応(1)』へのコメント

この場合の賃金とは、100%でしょうか?
 それとも、60%でも良いのでしょうか?
Posted by かめれおん at 2010年08月18日 18:13
たびたび質問ですみません<m(__)m>
 刑事事件で勾留中において、起訴(不起訴)が
決まる間は、当然仕事につくこともできないことになりますが、
この場合も、事実関係をそれまでの間において、事業者は
判断することも出来ないはずで、その間の賃金支払い義務
もあるという考えでよろしいのでしょうか?
Posted by かめれおん at 2010年08月18日 18:19
かめれおんさん
お久しぶりです。

ところでご質問の件ですが、事例の場合は使用者の責に帰すべき理由によ
る休業のため休業手当として60%以上の支払いが必要となります。
なお、起訴拘留中の場合については、使用者の責に帰すべき理由とは言えませんので、ノーワーク、ノーペイの原則に従い休業手当の支払いは不要ではないかと思われます。

なお、最終的に逮捕や起訴が違法であった場合には、社員は国家賠償法による損害賠償を求めることができます。

派遣社員さんいつもお越し頂きありがとうございます。
また遊びに来て下さい。
Posted by くまさん社労士くまさん社労士 at 2010年08月23日 06:57
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