この記事は勤務成績が不良な社員への対応(2)について書かれています
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2008年12月31日

勤務成績が不良な社員への対応(2)





いよいよ今年もあと2時間で終わります。

今年の2月にブログを初めて、続けきれる

かと心配しましたが、なんとか10か月書き続け

ることが出来ました。

毎日お越しいただける読者の方の数も

平日で200名以上、土日祝日で100名以上

と多くの方にお越しいただき感謝しています。

ありがとうございました。

°・:,。★\(^-^ )♪ありがとう♪( ^-^)/★,。・:・°

来年もまたよろしくお願いします。




今日は前回の続きで勤務成績が不良な社員への対応を考えてみたいと思います。

1.比較的細かいミスを繰り返す社員に対して、

  勤務不良を理由での解雇の可否

  
  
  このケースの場合はミスを繰り返すことによってどれだけ業務に

  支障が出ているのかという点がポイントになります。

  一つのミスでは解雇理由というほどではない場合

  でも、あまりたびたびで業務への支障があると

  いうことならば、能力や適正の問題として解雇

  の正当な理由となる場合もあります。


  ゴールドマン・サックス・ジャパン・リミテッド事件

  (東京地裁平成10年12月25日判決)

  では、人事部員である社員を解雇した事例で

  「秘密漏洩の不適切な取扱い(社員の個人情報

   を規定に反して一般の封筒で送付、ファイル保管

   の不適切)、指示・依頼を受けた事項に対する

   不適切な対応、職務上のミスの頻度の高さ、

   遅刻、対人トラブル」などの言動が問題とされ

   ました。解雇前に2か月間の観察期間を設けて

   改善の機会を与え、それでも改善されないので

   任意の退職を促し、その後に解雇した事例です。

   この事例に対して、裁判所は

   個々的には解雇に値するほど重大な事実であると

   はいえない」としていますが、問題の行動が多岐に

   わたること、短期間(約1年)の割に数も多いことから

   総合的には勤務成績・勤務状況は不良であったと

   言わざるを得ない
とした上で、

   たび重なる指摘・注意、書面による警告にもかかわらず

   状況を改善しようとせず、かえって部長に対し、たびたび

   大声で抗議するなど、状況を悪化させていることから、

   改善の見込は乏しいとしています。

   さらに、観察期間を与えて改善の機会を与えてこと

   退職を促したことも評価され、もはや解雇もやむなし

   との判決が出されています。






2.人事考課の順位が下位10%以内の者

  を勤務成績不良とした解雇の可否


  セガ・エンタープライズ事件

  (東京地裁平成11年10月15日判決)

  では、人事考課の低い者について、就業規則所定の理由

  である「労働能率が劣り、向上の見込みがない

  と認めたとき」


  に該当するとして解雇した事案ですが、裁判所は相対的評価

  で下位に位置づけられて能力が平均水準に達しないというだけ

  では、解雇は出来ないとしました。

  これは会社が、人事考課平均点が低い56名に対して

  退職を勧告しましたが、その中の1人がこの勧告に応じなか

  たっため、会社は原告の自己主張が強く協調性がないこと、

  人事考課の結果が下位10%の範囲内であり、労働能力ない

  し適格性が欠如していることになり、「労働能率が劣り、向上の

  見込みがない」に該当するとして解雇した事案です。

  一方、従業員側は、「人事考課の結果が相対的に

  低い者を解雇できるとすれば、

  考課結果の低い者から順次いつでも

  解雇していくことを認めることになり、

  そのようなことは許されない」

  
  と主張しました。

  裁判所は、従業員(原告)の業務遂行能力が社内の平均水準に

  達していなかったことを認定しましたが、

  平均に達していないだけでは不十分であり、

  「著しく」労働効率が劣り、向上の見込みが

  ない場合でなければならない


  としました。

  また、同社の人事評価が相対評価であって絶対評価でないないこと

  からすると、考課が低いからといってただちに労働効率が著しく劣る

  とはいえないとしました。

  また、相対評価下位の従業員に対する解雇を認めるとすれば、毎年

  一定割合の従業員を解雇することが可能になるが、就業規則の解雇

  理由にいう「労働能率が劣り、向上の見込みがない」というのには

  限定的に解釈するべきで、

  順位の低い者を恒常的に解雇

  することを認める趣旨とは解する

  ことは出来ないとしています。

  考課結果も重要な要素とは考えられますが、やはり考課

  結果だけではなく、能力・適正の面でどのような問題が

  あるのか、

  具体的事実を数多く提示することが必要だと思われます。



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