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2009年02月11日

内定後のトラブルに対する会社の対応(2)




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内定後のトラブルに対する会社の対応(2)




1.採用内定後、急に会社の経営が悪化した場合の

  内定取り消しの是非

  
  この問題は今、大変世の中を騒がせていますが、

  過去事例から見てみます。


  採用内定で解約権を留保した趣旨、目的は、適格性

  に関する最終判断を留保することであり、本人の適格性

  に関係のない会社の経営悪化を

  理由とする内定取り消しは、理論的には

  留保解約権の行使とは別のものという
  
  ことになると思われます。

  

   通常、内定通知書には、「卒業出来なかったとき」

  「健康状態に変化があったとき」などの解約事由

  が記載されていますが、「会社の経営が悪化した時」

  といった取り消し事由が内定通知書に記載していること

  はまずありません。


  このような場合の取り消しは、適正を判断した上での

  留保解約権の行使とは異なり、会社都合で労働契約

  を解約することになりますので、

  整理解雇の4要件である

  1.人員整理の必要性

  2.整理解雇の必要性(解雇回避努力)

  3.人選の合理性

  4.手続きの妥当性

  を具備することが必要となります。


  
  インフォミック事件(東京地裁平成9年10月31日判決)

  では、ヘッドハンティングによる中途採用の

  例ですが、リストラにより配属予定部門配転予定部門

  が存続しなくなったことを理由にする採用内定取消が

  無効とされました。

  判決においては、このような採用内定取消についても

  整理解雇の4要素を総合判断のうえ、解約権留保の意思、

  目的に照らして

  客観的に合理的と認められ、

  社会通念上相当と是認されるか

  どうを判断すべきでるとしました。

  
  事例の場合、整理解雇要件の1~3については認めたものの、

  4.手続きの妥当性については、

  スカウトしながら突然内定を取消したこと、

  納得をすべき十分な説明がなされていない

  ことから、誠実性に欠けるところがあったとして、

  この採用内定取消を無効とし、会社に月々の

  賃金の支払いを命じています。

  
  内定取り消しの可否は、人員削減の必要の程度によるところが

  大きいのですが、いずれにせよ、判決にあるとおり、

  まず雇用を維持するための配慮・努力が必要です。

  それが実現不能の場合

  にも、内定取り消しの事情を十分に説明する必要があります。

  さらに、「新規学校卒業者の採用に関する指針」では、

  解雇予告について定めた労働基準法第20条に抵触することが

  ないよう十分留意するものとして、

  内定取り消しに解雇予告手当

  が必要であるとの立場をとっています。


  要するにぎりぎりになっての取り消しでなく、早めに対応すべき

  としています。また、職安法施行規則では、採用内定を取消す

  場合はあらかじめ公共職業安定所または学校に対して

  その旨通知すう必要があるとしています。




 2.内々定と採用内定の相違

  
 従来は就職協定があったことから、「内々定」というものが

 多く出されていました。

 今でも数は少なくなりましたが、やはり「内定」として確定して

 しまうことを避け、「内々定」が出されています。

 採用内定を出すと、最高裁の判例によると

 労働契約が成立してしまいますので、

 企業としてはあまり早い時期から拘束

 されたくないという思惑もあります。


 
 「内々定」の法的性質は内定とは異なり、「契約の締結過程」

 にすぎないか一歩進めてもせいぜい

 「内定の予約」であるということに

 なると思われます。

 「契約の締結過程」であれば、取り消しも原則として自由と

 いうことが出来ます。
 
 「内定の予約」だとすれば、恣意的な取り消しは予約違反ということに

 なりますが、仮に予約の破棄が不当だとしても

 雇用関係そのものが成立する

 わけではありません。

破棄に関して慰謝料などの損害賠償責任等は

発生しません。

もっとも内々定といっても実態は様々なので

個々の具体的な事情やどんなやりとりが

あったのかによって判断されます。

名目は内々定であっても、実態として

「採用内定」と認定されれば

その取り消しに際して、

「客観的に合理的と認められれ

社会通念上相当として是認する

ことができる」理由が必要とされる

場合もあります。




 

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