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2009年02月13日

社員の退職後の残業代請求




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社員の退職後の残業代請求


A社は従業員20名の営業販売会社です。

10年前に創業したB社長は成果主義を

標榜し、「販売会社なのだから、時間では

なく成果だ」


と従業員にハッパをかけて

経営してきました。

そんなある日、1か月前に営業成績が

全くふるわないので解雇した元従業員

のC氏が労基署に告発し、監督官が

A社にやってきてました。社長は最初は

甘く考え、「適当に対応すれば良い」と

一人で対応しました。

監督官はタイムカードと賃金台帳を

手に取ると次々に付箋を貼り付け

ていきました。

そして、「ほとんどの方は月間80~

100時間を超えて残業しているにも

かかわらず、時間外手当が支給され

ていません。

営業手当という名称で5千円~7千円が

ついていますが、これは営業成績によって

変動する「歩合給」なので、これを時間外

手当と認める訳にはいきません。

過去3カ月間、遡って時間外手当を指定

期日まで全員に支払って下さい。」


そしてその額は900万円を超えることに

なりました。また、監督官より

労働時間が長すぎます。月間45時間

年間360時間を超えて残業させる

ことは法的に禁止しています。

早急に労働時間改善の処置をとって

下さい。そして、是正状況を毎月

報告するように


指示を受ける結果となりました。


さらに、A社に追い討ちがかかりました。

解雇したC氏より内容証明が届いたのです。

それは、「過去2年間分遡って残業代を払う

こと(その額450万円)また、不当解雇の撤回」


を求めるものでした。

A社のB社長はあわてて監督官に電話をして

「監督署は3か月分だけで良いといっているのに

Cには2年分も払わなければならないのか」

を問い合わせました。

監督官からは「本来は2年分請求できる権利

が退職者を含む従業員にはあります。ただ、

それは民事上の争いなので監督署は介入しません

さらに、不当解雇の争いについても、それは

裁判所で争ってください」
との回答でした。

B社長は権利ばかり主張するCさんの

行動に対する憤りやお金の工面で

毎日眠れない日々が続き、ついには

会社も傾きはじめ、B社長も心労

のため、入院することとなりました。



A社の問題点について整理してみたいと思います。

1.賃金規程および支払い方の整備不備

  営業手当を時間外手当相当分であることを

  賃金規程、雇用契約書、賃金明細にしっかりと

  表示していれば、時間外手当として労基署に

  認めてもらえていたはずでした。

  しかし、営業成績による変動賃金は時間外

  手当としては認めてもらえません。

  成果が出ないと賃金は払わない、残業しても

  成果が伴わないと支払わないという考え方

  は全く通用しません。

2.タイムカード管理が杜撰

  B社長は労働時間と賃金支払いの関係についての

  認識が不十分でした。

  タイムカードの管理、つまり労働時間を管理する

  という部分がまったく欠落していました。

  結果として、ちゃんと仕事をやっていたかどうか

  疑問である労働時間に対する残業代まで支払う

  こととなりました。

3.雇用管理の配慮義務の欠如

  B社長は従業員に時間に関係なく働いて

  成果を上げてほしいと思っていたのですが、

  雇用管理上、経営者は従業員の安全かつ

  良好な職場環境に配慮する義務を当然に

  負っています。従業員はあくまで社長の

  指示命令に従うことで賃金を受け取る

  従業員であり、だからこそ法的に

  それ相当の対応・配慮義務が求められます。

  万一、A社のような労働条件で過労死が発生し

  訴訟になれば100%の確立でA社は敗訴する

  ことになると思います。

4.雇われている社員の気持ちがわかっていない

  営業は労働時間でなく成果だ!

  という考えは正しいのですが、従業員は長時間

  労働に対する不平不満を抱いているものです。

  特に月間80時間や100時間の残業が恒常的な

  職場では、その傾向がとくに強いと思われます。

  従業員も成果が大切なのはわかっていますが、

  それと同じくらいに自由時間や余暇も大切なのです。

  A社のような長時間労働が蔓延している職場では

  社長にその意識が欠けていることが多いものです。



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