この記事は固定残業手当の運用と注意点について書かれています
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2009年05月01日

固定残業手当の運用と注意点






  今日は労基署対策について考えて

  みたいと思います。

  固定残業手当として賃金に含ませる

  方法は、残業代をゼロにすることも

  可能となります。そのため、

  その法的な

  プロセス・従業員の納得度には細心の

  注意が必要です。賃金体系についての

  従業員の同意に加えて、仮に訴訟となっても

  しっかりと立証できることが重要です。

  
  この点について判例でも

  「定額ないし固定性の割増賃金額や

  月額賃金に割増賃金を含む賃金体系

  が有効であるためには、賃金の中の

  いくらが割増賃金にあたるかをそれ以外

  の賃金部分と明確に区分することが

  でき、その割増賃金相当分を控除した

  基礎賃金によって計算した割増賃金

  の額と割増賃金相当額とが比較対照

  出来ることが必要である。」

 (平成元年8月10日高知地裁 高知観光事件)

  としています。

  ではそのための対策として

  従業員の同意を得ることが大切です。
   
  長時間労働が当たり前となっている職場は、

  一部の従業員の不満が爆発寸前という状況

  です。従業員の不満が爆発して労働基準監督署

  に申告に行くのは、経営者を懲らしめようというの

  ではなく、この経営者を放置しておくと自分たちの

  労働条件が悪化する一方だという危機意識であり、

  被害者意識からくるものです。

  会社としては従業員の立場を常に考える必要があり

  ます。従業員にとって、「お金」と「時間」と「休み」が

  重要な労働条件です。お金が増えずに労働時間だけが

  長くなるとか、労働時間や仕事のつらさは変わらないの

  に賃金だけが減額されるなど従業員が「経営者が得を

  して、自分たちだけが割をくっている」と思うようなことを

  行っては信頼関係が崩れていまいます。

  そのためには、従業員にとって有利な

  「利益変更(総額賃金アップ)」と

  「不利益変更(基準内賃金の減額)」を

   組み合わせて、固定残業手当をつくるなど

   賃金体系変更の同意を取り付ける等の努力

   が必要です。




   ところで、固定残業手当については。何時間までに

   抑えなければならないという労基法上の定めは

   ありません。ただし、労基法は時間外労働の上限

   として年間360時間(1年単位の変形労働時間制

   では320時間)を定めています。この時間を超えたら

   たとえ残業代を支払っていても原則違法となります。

   このことからも社会通念上、固定残業手当を

   設定する場合は、月間30時間程度で

   設定出来ればベストです。

   
   もちろんこれは固定残業手当を30時間で打ち切りにして

現実に残業した分はカットする

   ということではありません。

   
   法律的には、次のように言っていると解釈されます。

 1.年間残業時間は360時間(1年単位は

   320時間)に抑えなさい

 
 2.万一、法定の残業時間の上限を超えて

   しまってもその分の残業代は払いなさい

   
   小さな会社でこの条件をクリアーできれば言うことは

   ありませんが、現実には不可能です。

   そのためには、サービス残業とならないような

  1.適正な人員体制の整備

  2.労働時間管理

  3.業務改善
   
  
  を行いながら、労使双方の合意のうえで賃金体系

  を変更し、局面を打開していくしか現実的な対応策

  はありません。

  労基法上の賃金支払いの観点からは、固定残業手当が

  実際の残業時間分をカバーしており、又は万一、オーバー

  してもその差額分を支払えば「サービス残業」問題は

  解決することが出来ますが、労働時間が限度を超えた場合

  「労働時間については違法となります」

  このよう違法状態に対して何ら是正措置をとらず、長時間

  労働が常態となっている職場で過労死やうつ病などの

  精神疾患を招いたり、疲労による交通事故を起こして

  しまったりすると会社に雇用管理上の安全配慮義務

  違反の損害賠償が生じることにもなります。

 
  特に労働契約法が制定され、安全配慮義務が

  条文化された今日では、明確に法律違反として

  罰せられることとなります。

  経営者の方はその社会的責任を十分認識して

  収益の拡大という難しい舵取りを強いられている

  ことを認識することが大切です。

  
 


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