この記事は中小企業の管理職への対応について書かれています
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2009年05月10日

中小企業の管理職への対応






  よく「課長以上には残業代は支払う必要はない」

  と言われますが、必ずしもそうとは限りません。

  いわゆるその課長が労基法上の「管理監督者」

 に当るかどうか、労働時間の規制が適用除外

 となるかについては、その就労の実態で判断

 されるからです。

 
  労働基準法には管理監督者について、次の

  ように規定されています。

  「管理監督者とは、経営方針の決定に参画し、

  あるいは労務管理上の指揮権限を有するなど

  その実態について厳格な規制を受けず、自己

  の勤務時間について自由裁量権を有する者をいう」

  つまり、具体的には次のような要件を満たしている

  ことが必要です。

1.職務内容や職務遂行上、使用者と一体的な地位
 
  にあるといえるだけの権限と責任を有していること

2.出退勤について裁量があること

3.給与面などでその地位に相当する処遇を受けてい

  ること

  
  などが挙げられます。

  このような要件としては大変厳しく、中小企業では社長、

  専務、常務程度の人しか該当しないでしょう。

  したがって大企業の課長は認められる場合があっても

  中小企業の課長の場合は、争いになれば「管理また

 は監督の地位」とは認められにくいと考えて

 おいた方が良いと思われます。


  小さな会社なのに半分くらい部長・課長がいる、

  係長といいながら「監督または管理の地位にある者」

  として取り扱っているなど、著しく不合理な場合は

  監督署の指導の対象となります。


  しかし、例えば20名程度の会社で部課長合わせて

  3名程度ならば、労基署にうるさく言われることは

  あまりないでしょう。ただし、民事上の争いになれば

  中小企業の部長・課長ともに「監督または管理の

  地位にある者」であるか否かは疑問が残るところです。




  管理監督者について、マクドナルド事件以来「店長」の扱いが

  クローズアップしてきています。

  「店長は店舗の経営者だ」ということで、多くの企業が

  店長を管理監督者と取扱い、残業代の支払いをしていない

  と思われます。しかし、今回の判例にあったように

  店舗の一店長が「経営者と一体」とは考えにくいし、

 開店から閉店まで拘束されていますから「出退勤が

 自由」とはいい難い状況にあります。さらに、飲食店

 や小売店の特に若い店長などは月給が20万円台な

 どはザラに見受けられ、給与面からも疑問が残りま

 す。


  複数の店舗を統括するエリアマネージャー程度に

  なれば検討に値しますが、一店舗の店長が

  労基法上の「監督または管理の地位にある者」とは

  考えにくく、その店長からサービス残業の訴えが

  あればマクドナルド事件の結果を見るまでもなく

  間違いなく会社が不利であると思われます。

  では、課長以上の役職者や店長に対しては

  どのような対応が考えれるかと言えば

  やはり「固定残業手当」として支給する

 しかありません。その金額も「一般従業員

 の残業代よりも高額」であることが必要と

 なります。

  
  仮に30万円の基準賃金の一般従業員の

  30時間の残業代は6万5千円以上になります

  すると、課長に昇格したときには、少なくとも

  7万円程度は役職手当として固定残業手当

  相当額を支給することが必要です。

  「監督または管理の地位にある者」と認められる

  要件の一つに、役職手当などが相応で賃金が

  しっかり支払われていることも重要な要件です。

  役職手当を「固定残業手当」として支給する

 ためには賃金規程や雇用契約書にきちんと

 記載しておくことが大変重要です。

 
  会社としては「監督または管理の地位にある者」

  として昇格させた者の給与体系には

  役職手当には固定残業手当も含まれる旨

 をきっちり明記し、かつそれが残業代相当分

 として認定が受けられるように手厚く設定して

 おくことが大切です。
  
 


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