2011年02月17日
業務上必要な準備行為が労働時間に該当するかの有無
従業員の始業・終業時刻に絡んで、作業着への着替時間、
構内歩行時間、体操時間等が「労働時間」に当たるか否か
が問題となった事案において、裁判所は、「就業を命じら
れた業務の準備行為等を事業所内で行うことを使用者から
義務付けられていること、あるいはこれを余儀なくされて
いる」との評価を行い、そして、「労働者が始業時刻前に
更衣所等において作業服および保護具等を装着して準備体
操場まで移動し、副資材等の受け出しをし、散水を行い、
終業時刻後に作業場等から更衣室等まで移動して作業服
および保護具等の脱離等を行った場合、同労働者が、使用者
から、実作業にあたり、作業服および保護具等の装着を
義務づけられ、当該装着を事業所内の所定の更衣室等において
行うものとされ、副資材等の受け出しおよび散水を始業時間前
に行うことを義務付けられていた等の事実関係のもとに
おいては、当該装着及び準備体操場までの移動、副資材等の
受け出し、散水、更衣所までの移動及び離脱等は、使用者の
指揮命令下に置かれていた評価することができ、労働者が
上記行為に要した社会通念上必要と認められる時間は、労働
基準法32条の労働時間に該当する」との判断を行いました。
しかし、「始業時刻前の入退場門から更
衣室等までの移動時間、終業時刻後の手
洗い、洗面、入浴とその後の通勤服の着
用のための時間、更衣室等から入退場門
までの移動時間および休息時間中におけ
る作業服、保護具等の着脱に要する時間
は、労働基準法32条の労働時間に該当
しない」
との判断を行っています。
(三菱重工業長崎造船所事件 最高裁平成12年3月9日判決)
最高裁ではこのように精微な
分析を行い、「使用者の指揮命令下におかれた時間」に
当たるか否かを細かく判断しています。
この事件の場合、造船所という特殊な業種であり、
保護具等の特殊用具の装着であったため、作業
前の着替えの時間は労働時間と認定していると
も考えられます。
同じく着替えや職場までの歩行の時間について、
「入門後職場までの歩行や着替え履き替えは、それが作業開始に
不可欠なものであるとしても、労働力の提供の為の準備行為であって、
労働力の提供そのものではないのみならず、特段の事情のない限り使用
者の直接の支配下においてなされるわけではないから、・・・
結局これをも労働時間に含めるか否かは、
就業規則にその定めがあればこれに従い、
その定めがない場合には職場慣行によって
これを決するのが最も妥当である」
として、労働時間としなくてもよいとする原審を維持するとの判決もあります。
(日野自動車工業事件 最高裁昭和59年10月18日判決)
このように「労働時間」を考える場合、緻密に分析が必要となりますが、
「労働時間」と評価されるものについて
は、紛争になれば、請求されると企業は
負けてしますといるリスクがあり、しか
も、割増率を加算した賃金の請求を受け
ることになりますので、明らかに「労働
時間」と解される時間については、当初
から所定労働時間に組み入れた就業体制
を組むことが企業リスク回避の観点から
は大切です。
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